ユーロ/円相場は、132円水準での保ち合いを経て、130円台後半まで軟化している。ユーロサイドに特に目立った売り材料は見当たらず、対ドルでは逆にユーロ高が進行している。ただ、主要通貨に対して円売りポジションの解消が進む中、円サイドの要因からユーロ安・円高が促されている。
引き続き、世界の株式市場が不安定化していることが、円売り圧力にブレーキを掛けている。週明けの日経平均株価も急落しており、日本株買い・円売りのポジションが修正局面を迎えている。また、5月27日には黒田・日銀総裁が、金利が1~3%程度上昇した場合でも、経済・物価情勢の改善を伴えば、金融システムが不安定化する懸念は大きくないとの見方を示したことも、円高要因に。最近の金利上昇を日本銀行が本気で阻止する意思があるのかが疑問視されていることで、円キャリーの動きにブレーキが掛かるリスクが警戒されている。もっとも、日銀の大規模な国債購入が展開される中、円金利上昇は一時的な混乱に留まるだろう。株式市場が冷静さを取り戻せば、再び円売り圧力が強まると見ている。1~週間程度の期間は混乱が続く可能性があるが、基本的にはユーロ/円相場の押し目と評価している。
一方、ユーロサイドでは24日に発表された独Ifo企業景況感指数が市場予測を上回り、3ヶ月ぶりの改善を示した。1~3月期の独国内総生産(GDP)も前期比-0.2%と市場予測と一致しており、決して良好な経済環境とは言えないながらも、ユーロを売り込むような数値ではなくなっている。今後は31日のユーロ圏失業率が焦点になるだろう。ここでユーロ経済の不振が再びクローズアップされると、対ドルを中心にユーロ売り圧力が強まる可能性も想定しておく必要がある。
今後1週間の予想レンジは、129.00~132.00円。